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  神経症
   
  神経症という用語は、スコットランドの医師 William Cullen によって提唱され(1769)、後にかれの著書のなかで、Neurosis or Nervous Disiese という項目のもとにまとめあげられました。しかし今日的概念の基礎を築いたのはやはりSigmund Freud でしょう。一方で神経症という用語を用いることに異義を唱えた精神病理学者 Kurt Schuneider がおり、今日のDSM‐IVに引き継がれることになります。
 
医学という知を想定されたものが、それぞれの時代やパラダイムによって規定されていることはいうまでもありませんが、一方で、ある特定の文化によって基礎づけられている医学という枠組によって、そしてこの枠組から外れたところで病者のあり方が規定されているということも言えないでしょうか。今日、日本で、Freud や Charcot が報告しているようなヒステリーがほとんど見られなくなっているのはその証左ではないでしょうか。また境界人格障害に代表されるある種の人格障害を特徴づける acting out を精神分析(何人かの精神分析家ではなく) の敗北とするような短絡的な解釈が主体をまさに短絡的な行動へと駆りたてているのではないでしょうか。
 
acting out(および passage àl'acte)については後に一寸コメントしたいと思います。また浅学を顧みず、DSM‐IVについて批判めいたことも述べたいと思いますが、このホームページの体裁を整えるために、神経症について一般 的にコンセンサスを得ている臨床的類型のなかから不安神経症、強迫神経症について若干述べたいと思います。荻本医院に受診してみたいと思っていらっしゃる方はここから読み始めていただければよろしいかと存じます。
 
DSM-IVという米国精神医学会作成の診断マニュアルには神経症というカテゴリーが存在しません。DSM-IV作成委員会によれば、本マニュアルで採用された用語は徹底して客観的、記述的なものが厳選されたとしていますが、そもそも言語をもってして客観的な事象を記述することが不可能であることは現象学そのものが明らかにしていることです。フッサールが辿りついた現象学的還元の意味するところは、究極的な還元が不可能であるという絶望であったはずです。このことを臨床医学にあてはめると、診断学懐疑主義に陥ってしまうでしょうし、そもそも理想的な症状論、疾病分類など望みようがないことはいうまでもありません。そのことをカッコに入れたうえでできるだけ体系的、網羅的にという配慮に関してはDSM-IVにも敬意をはらいたいと思います。しかし精神医学の長い伝統のなかで受けいれられてきた諸概念が、かりに部分的な誤謬が見つかったからとして捨て去られてしまうのは如何なものでしょうか。
 
   
  不安神経症
   
  # 不安にはいわゆる不安発作とその再発を畏れる予期不安とが区別 されています。
# 身体症状は、多くは、自律神経症状とみなされていますが、身体領域の愁訴ではあれ、主観的側面 が強く表現されている場合もあります。以下、列挙してみます。
血管運動性(顔面紅潮、顔面蒼白)、分泌線(口渇、発汗など)、消化器症状(腹痛、下痢など)、呼吸困難、過呼吸症候群*、頻脈、動悸、四肢シビレ感、胸内苦悶感、頚部絞扼感、めまい、など
# 器質性障害、症状性障害、中毒性障害は除外されます。 例)甲状腺機能亢進、アンフェタミン中毒など
 
>>次のページに続く
   
 
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