ジャック・ラカン
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「障害」という言葉について 小生がいま手にしているのは『精神保健福祉法詳解』(最新のものは三版ですが小生のは改訂第二版でやや古いのですが)で、第二編
第一章 第五条 定義、すなわち精神障害者の定義についての記述を読んでいます。… こうあります、「 …本条(つまり第五条です)における精神障害者の定義は、本法(つまりこの『精神保健福祉法』のことですでいう精神障害者の外縁を示しているものであり、個々の制度や条文の対象となる精神障害者の範囲は、その一部または全部であり、それぞれの制度や規定の趣旨によって、さらに要件が加わるものであることは当然である
…」はっきりいってこれはミスティフィケーション以外のなにものでもありません。外縁(外延ではなく)とはいったい内なのか外なのか、集合論でいう閉集合なのか開集合なのか?
一部または全部であり … はあ … ? つまり、もし身体障害を医学的概念でとらえることができるとすると(そのような法律はないが)、かぜ症候群も身体障害であり、かぜ症候群に罹患したひとも身体障害者といえるわけです。 DSMやICDでの「…障害」( … disorderの訳)は当然前者の意味となります。保健所などに提出する「障害」に関する書類もこのふたつの障害のどちらに関係しているのか担当の方に訊いてみた方がよいかもしれません。 逆に言うと、混乱を招くこととなったのは、DSM, ICDにおけるdisorderを「障害」と訳してしまったからかもしれません。いずれにしても、訳語である日本語の漢字熟語はなにか堅苦しく取っつき難いものがあります。
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