ジャック・ラカン
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メランコリーという語について DSM-IV-TRにおいて、うつ(病)性障害Depressive Disordersの下位分類にあたるMajor
Depressive Disorderの項目においてMelancholic Features Specifeir -
これを日本語訳でメランコリー型としてしまったので、話がややこしいことになってしまったのでしょうか - の記述を認めることができますが、これが日本語訳が示しているようにテレンバッハのいうTypus
melancholicusを多少とも意識したものであるとしたらDSMのこの項の執筆者はテレンバッハのことをまったく解っていないことになります。 どちらか一方です。DSMがおかしいのか、日本語訳が混乱を招く元凶であり日本の大多数のメンタル系医師、研究家がテレンバッハのTypus MelancholicusとDSMの日本語訳メランコリー型を混同しているかです。 もしDSM-IV-TRのメランコリー型というものが「非定型」に対して「定型」なのだとしたら、非定型うつ病が増加していると唱える研究家は、DepressionにDSMの『定型』における特徴として列挙された記述以外の例外があまりに多いという事実を認めなくてはなりません。そうならば、この例外(つまり『非定型』の特徴)を定型のなかにも組み込めばよいと提言すべきでしょう(例えば、「睡眠障害のなかに過眠もありうる」、『食欲低下もあるし食欲亢進もある」等々)。 このような整合性のなさが2013年のDSM-Vで双極性スペクトラムという大項目に、まったく自己批判をしないまま、纏め上げられるのならば、これは改訂ではなく粉飾といわれても仕方がないでしょう。 DSMもその歴史があり、過ちを犯してきた筈ですが、「歴史の終焉」とは過去の過ちの無反省というご都合主義でしかありません。
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