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付)「神経症」ということばについて

神経症という用語は、スコットランドの医師 William Cullen によって提唱され(1769)、後にかれの著書のなかで、Neurosis or Nervous Disiese という項目のもとにまとめあげられました。しかし今日的概念の基礎を築いたのはやはりSigmund Freud でしょう。一方で神経症という用語を用いることに異義を唱えた精神病理学者 Kurt Schneider がおり、今日のDSMに引き継がれることになります(DSMにも神経症というカテゴリーが存在しません)。ICD-10には神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害Neurotic, Stresse-related and Somatoform Disoedersの大項目が設けられていますが、「… 神経症」、英語で… Neurosisというタームはまったく見出すことはできません。「恐怖症」Phobia, 「不安性障害」Anxiety Disorder, 「強迫性障害」Obsessive-Compulsive Disorderという表現となります。

医学という知を想定されたものが、それぞれの時代やパラダイムによって変貌してゆくことはいうまでもありませんが、一方で、ある特定の文化的伝統のなかでその枠組みのなかから生まれる病(やまい)やこの枠組みを打ち破ろうとする病があり、これをグローバルなスタンダードからみれば、DSMで規定されている「文化に結びついた症候群」Culture-Bound Syndromesとして、それこそ付録でしかない枠組で、あるいは枠組からはずれたところでしか扱われなくなってきているいるのです(当の文化圏に所属している地域においてもです)。今日、欧米でも日本でも、Freud や Charcot が報告しているような典型的ヒステリーがほとんど見られなくなっているのをどのように捉えたらよいのでしょう。また上述した対人恐怖症に対する偏見をどう糾して行けばよいのでしょうか。一方で境界人格障害ボーダーライン・パーソナリティーに代表されるように、あるタイプの人たちを人格障害 といったレッテルを貼って、解釈を要求しているacting outという行為 を、この行為をもって精神分析(何人かの精神分析家ではなく) の敗北とするような短絡的なものの考え方がまかり通っている風潮、文化、というより文化の否定がこういった人たちをまさに短絡的な行動へと駆りたてているのではないでしょうか。

acting out(および passage à l'acte)についてはラカンの勉強会のブログにおいて明らかにしました。また浅学を顧みず、DSMについて批判めいたことも述べますが、このホームページの体裁を整えるためです。